春・夏・秋・冬 四季折々の季節の中で、その食材がもっともおいしく、滋養が高まる旬。
魚介類なら脂がのっている産卵期の直前。野菜や果物は出盛りの時期。太陽の光と恵みの雨を受け自然のリズムにそって育まれた旬の食べ物には、生命力がみなぎっています。
栄養価や薬効たっぷりの旬の恵みを頂くことは、私たちの体に自然のエネルギーを取り込むことであり、免疫力を高めて病気を未然に防ぐ、すぐれた食養生になるのです。
食物の持つ五性(寒・涼・平・温・熱)と五味(酸・苦・甘・辛・鹹)の特徴を最大限に生かすことで全身の健康維持につながっていくのです。
春
※春は高ぶった陽の気と血が滞り、上半身の不調が出現。この季節は、肝を助けて気を鎮めるふきや、たけのこ、よもぎなどの苦味の食材と同時に酢や梅干しといった酸味の食材をとるのがポイント。
たけのこ
糖尿病に作用する。
水の代謝、気のめぐりをよくし、胸のつかえを除く。 食物繊維が豊富で便秘・大腸がんの予防に効果的
ふきのとう
腸を温め、咳を止め、痰を除く。肝臓の働きを補い、視力を高める。春に起こるのぼせやだるさ解消にも有効。
☑胃の働きを活性化
菜の花
滞った血液を除いて、流れをよくし、腫れものを取り除く作用がある。免疫力を高めて風邪を防ぎ、食欲不振や消化不良の解消にも役立つ。
グレープフルーツ
とくに果肉が赤い品種はリコピンが多く含まれるため、動脈硬化やがんの予防効果があるといわれます。
夏
ゴーヤー
熱中症、眼の充血、のどの渇き、腫れものを改善。美肌作りや老化防止にも役立つ。細菌ウイルス性の湿疹などにも効果的。
レタス
体熱を冷まし、排尿を促す効果がある。95%が水分で、夏の水分補給に最適の食材。
トマト
体液を作り、口の渇きを潤す作用がある。夏場の食欲不振を改善する。抗酸化に優れ、がんや動脈硬化などの予防にも役立つ。
すいか
腎臓の妙薬といわれ、夏に負けない体をつくる。
暑気を払い、のどの渇きを癒す。利尿作用が非常に高く、むくみを取り除く。
秋
大根
殺菌力に優れ、まさに食べる胃腸薬。
しぼり汁は口の渇きをとり、胃酸がこみ上げてくる時に飲むと効果的。やけどにも有効。
にら
血液の流れをよくして、五臓を穏やかに調和させ。胸の熱を除いて、気のふさがりを解き、食欲を促す。
里いも
消化を助けて胃腸を整える。特有のぬめり成分が血圧を下げ肝機能を保護する。また、皮膚や粘膜の炎症を鎮める働きも有する。
たまねぎ
肺に働きかけて痰を切り、余分な水分を排出する。善玉コレステロールを増やし、血栓を溶かす働きがある。高血圧・動脈硬化などを予防。
冬
牡蠣
コレステロール値や血圧を下げ、動脈硬化予防に有効。さらに貧血予防に役立つミネラルが豊富で海のミルクと言われています。
昆布
水分代謝をよくし、むくみ、腹部のしこり、甲状腺腫の改善に役立つ。アルギン酸、鉄分、ヨード、カルシウムが豊富で新陳代謝を活発にする。
かに
蟹は腎臓や造血を担う骨髄を活性化するため、血のめぐりを改善。酒毒を消す働きがあるため、悪酔いや二日酔いを防いでくれます。
しじみ
糖尿病による黄疸やむくみ、口の渇きを解消し、目の疲れを癒し、肝臓の解毒作用を促進する効果があります。
※これらの記事は、東京薬膳研究所代表 武鈴子先生の「はじめての和食薬膳」「和の薬膳」の書をもとに書いています。