食物のもつ五性と五味

食物には「五行」に基づいた5つの性質五性と5つの味五味があります。

五性(五つの性質)

体を冷やしたり温めたりする性質によって分けられ、寒性・涼性・平性・温性・熱性があります。

寒性 体をしっかり冷やし、発熱や炎症などに作用する。
 涼性 体をおだやかに冷やし、のぼせやほてりを改善。
平性 どちらにも偏らず、ほかの性質を緩和する。
温性 体をおだやかに温め、冷えや寒さを取り除き、気や血をめぐらせる。
熱性 体をしっかり温め、体の内側から冷えや寒さを取り除く。

食物は体内に入ったときに、体を冷やしたり温めたりする性質があります。この寒いから熱いまでを5段階で表したものが五性(ごせい)です。

体を冷やす「寒・涼性」の食べ物には、「温・熱性」の食べ物を。また「温・熱性」の食べ物には、「寒・涼性」の食べ物を。

反対の性質の食物をとり入れることで、「五性」のバランスを整えます。

五味(五つの味)

酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩辛い味)に分けられ、その味が体内でどう働くかも示しています。

酸味

さんみ

筋肉を引き締める。水分の排出を抑える。

 苦味

にがみ

 体内の熱を冷ます。炎症を鎮める。

甘味

かんみ

緊張をゆるめる。味を中和する。

辛味

からみ

体を温めて、滞ったものを発散させる。

腸内で食物が腐敗するのを防ぐ。

鹹味

かんみ

かたいものをやわらかくする。排尿をうながす。

陰陽五行理論は、自然界のあらゆるものに適用されます。食べ物は5つの味に分けられて5行に属すと考えられます。

これを五味(ごみ)と呼び、五味は「甘い」「辛い」など実際に舌で感じる味に加え、体の中の働きをふまえて区分されています。それぞれ特有の働きを持ち、体の中に入ったときに、決まった臓器へ働きかけていきます。

 

 

  五味五臓の相関

 

 

私たちの体の部位はすべて五味によって養われ、どれか一つの味が不足したり摂りすぎたりするとバランスがくずれて体調に影響します。

どの味も助け合う関係の相性と、摂りすぎると働きを抑える関係の相剋があります。

 

 

五味の分類は味覚だけでなく、その味が体内でどう働くかも示しています。

は他の臓腑も活性化して有益に働く相性

は特定の臓腑を抑えるように働く相剋

 

例えば酸味の食物をとりすぎると、相剋にあたる「脾・胃・肌肉・口唇」の働きを弱めてしまいます。

同じように苦味は「肺・大腸・皮毛・鼻」を、甘味は「腎・膀胱・骨髄・耳」、鹹味は「心・小腸・血脈・舌」を抑制するのです。

 

 症状を改善する食材

 

飽食がもたらす癌やアレルギー疾患、脳卒中、糖尿病・・

病気になって飲む薬より、病気にかからない未病の段階で防ぎ、健康を維持するために毎日食べるものこそが本当の意味の薬なのです。

 

気になる症状を改善してくれる食材についてご紹介します。

 

 旬を生かした食材で健康に

 

和食には五味五調を実現する、素晴らしい知恵が息づいています。

普段の食事に、季節の食べ物をとり入れることこそが薬となる料理、まさに薬膳となるのです。

次から次へ登場するスーパーフードに踊らされることなく、古くから伝わる日本人の知恵がギュッとつまった和食を今一度見つめ直してみませんか?

※これらの記事は、東京薬膳研究所代表 武鈴子先生の「はじめての和食薬膳」「和の薬膳」の書をもとに書いています。

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