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お盆

お盆が来ると思ふ。

友か、一人づつ去って行く。「ねえ、あんた、わたしの死水とるなんて約束したのに、先に行くなんて、冗談じゃないよ。くやしいったらありゃしない。寂しいね、酒の肴になる話も、聞けなくなるなんて。わたしをおいていかないでよ」赤い糸でなく、黒い縄にしがみつき、ねじれたところで足を踏ん張り、互いに辛苦をなめ、言いたいこと言えた友が、一人去り、二人去る。いつになったら自分の番がやってくるやら?早い者勝って言うけど、納得だね。孝行息子が、十二文いれてやるから三途の川を戻ってこいよと言われた。川の渡しとよい仲になり、岸で酒をあおりながら四方山話に、花咲かせ、旅人を送り出すのもよいかも。渡ったところで、どうせ地獄の釜の中、渡し守の、肌に触れている方がわたしにゃ、合っていると、ウフフフ。友が来たり、親戚が来たり、そして子供が来たら「どうしたんだ、こんなところで、まだ、ウロウロしていて?」「だって、あと六文たりなくてね~」こんな会話もまんざらではないですよ。あの世に行くのも、だんだん楽しくなってきました。「あとから行くからね。まっててよ~」合わせる手にも気合いが入ります。